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超音波スケーリングの基本操作や、禁忌例についても解説!

徹底追求 どっちがどっち?
超音波スケーラー VS エアースケーラー
愛知学院大学歯学部
歯科保存学第2講座
山口正孝
追求1比べてみよう、どっちがどっち?
今日の歯科治療の臨床には、速さと効率が要求されることが多く、われわれは日常の治療のなかで超音波スケーラーやエアースケーラーを用いて歯石除去をする頻度は非常に高い。
超音波スケーラーとエアースケーラーは、どちらも主として歯肉縁上の歯石除去を目的として用いられている。
機械を用いて効率よく診療を進めることは、現代の歯科医療にとって患者のチェアータイムや術者の疲労を少なくするという観点からも非常に有用なことである。機械は使い方を知った者が使用してはじめて優れた道具としての価値を発揮する。
今回、日常頻繁に使用している超音波スケーラーとエアースケーラーの両者の特徴を比較して考えてみたいと思う。
追求2どっちにしても、どんなもの?
超音波スケーラーとエアースケーラーの両者とも、歯石除去を効率よく行う目的で開発された。両者とも音波による振動を利用しており、手用のインスツルメントと比較して非常に効率の良いスケーリングを行うことができる。すなわち、歯科用スケーリング用超音波発生装置は周波数が25〜40KHzで、チップの先端の振動幅は6〜100マイクロメートルである。エアースケーラーは周波数が2〜6.5KHzである。
超音波スケーラーの応用範囲は歯石除去はもとより、補綴物の除去、歯内療法時の根管形成、根管洗浄等である。図1、2は市販の超音波スケーラーを示し、図3は用途に応じたインサートチップを示している。
超音波スケーラーのインサートチップは手用のスケーラーに比べて大きく、太く、先端が鈍である。これは、超音波によるスケーリング時の歯面への損傷をできるだけ少なくするための対応である。そのサイズが大きいため、歯肉縁下への確実な挿入が手用スケーラーに劣る。よって超音波スケーラーは、歯肉縁下の歯石の除去には手用のスケーラーよりも適していないと考えられる。
その原理は超音波発生装置により発せられた電流をハンドピース側で振動に変換し、さらに増幅器で振動を増幅してインサートチップに伝えられ、十分な振動が得られるというものである。超音波振動の振動発生装置は2種類あって、ひとつが磁歪型(マグネット型)、もうひとつが電歪型(ピエゾ型)である。最近の方式は電歪型が主流である。
一方、エアースケーラーでは、やはり超音波スケーラーと同じ理由で歯肉縁上の歯石の除去に適している。また音波の振動を利用して歯内療法にも応用されている。最近では、歯質の切削(窩洞形成)に使用する試みも行われている。
エアースケーラーの原理は圧窄空気で発生するエネルギーを回転力に変えて、これをハンドピース内で振動に変換することである。機種によって、さまざまな方法で振動に変換している。図4はエアースケーラーのハンドピースとインサートチップを示している。
図1 超音波スケーラー。P―MAX(サテレック)
図2 超音波スケーラー。エナック6型(長田)
図3 超音波スケーラー用インサートチップ。上から補綴物除去用、スケーリング用、根管洗浄、形成用(エナック、長田)
図4 エアースケーラー。デンタルスケーラー ソニックフレックス2000(カボ)
以上の特徴を理解したうえで、それぞれの実際の使用方法、治療効果を比較してみる。
追求3どこが、どれだけ、どう違う?
超音波スケーラーとエアースケーラーを比べた場合の一番の違いは前述のように、振動数の違いである。
超音波は、可聴音と比較した場合、単に周波数が高いという違いがあるだけである。ところが、高周波数であるがゆえにいくつかの特徴を持ち合わせている。ひとつは、パワー密度が非常に強いことである。その結果衝撃的破壊作用が生じる。また液体中で超音波振動をさせるとキャビテーションとよばれる現象を起こすことはよく知られている。この現象は媒質が引きちぎられて気化し空洞を生ずる現象である。キャビテーションによって酸化作用、粒子の破壊作用、撹拌作用、発熱作用等が生じるといわれているが、そのメカニズム等は不明な点が多い。スケーリングに際して超音波の持つ作用が働き、歯石破壊、除去が効率的にできる。超音波発振をしたインサートチップを歯面に付着した歯石に接触すると、超音波のエネルギーが歯石に伝わり、歯石が破壊され小さく粉砕される。さらに超音波を作用した時に同時にハンドピース内を通って流出する冷却水が噴霧状になってインサートチップと作業部に噴射され、粉砕された歯石を洗い流す。
エアースケーラーにおいてもスケーリング時に同じような作用が働くが、振動数の違いから超音波スケーラーに見られるようなキャビテーション効果はなく、直線的振動による効果のみのため超音波スケーラーに比べると仕事率が低いと考えられる。
歯石除去の効果は、振動数が大きいだけ超音波スケーラーのほうが勝っている。とくに歯肉縁に沿って頑固に付着している歯石の除去に関して、超音波スケーラーは効率的に歯石を粉砕、洗浄できる。さらに同じ超音波スケーラーでも、振動数が大きいほうが歯石除去効果が大きいと言える。
また、超音波スケーラーは、出力(振幅)の強弱をコントロールできる。
高度の知覚過敏のない患者18人において、同一部位に超音波スケーラーとエアースケーラーを作用させて比較してみたところ、超音波スケーラーのほうが痛みが大きいと感じたと答えた患者が8人、エアースケーラーのほうが大きいと答えた患者が2人、同じくらいと答えた患者が8人であった。超音波スケーラーのほうが操作時の痛みが大きい傾向がみられた。これは、双方の振動数の強弱の違いとして理解できよう。
また、注意事項として超音波スケーラーの磁歪型はペースメーカー使用の患者には禁忌であり、電歪型もペースメーカーに影響があるといわれている。その点エアースケーラーは、ペースメーカー装着の患者に対して安全であるといえよう。
術者からみた便利さという点を考えてみると、超音波スケーラーは超音波発振装置と専用ハンドピースが必要であるが、エアースケーラーは各々の治療台のタービンのハンドピース部を図5に示すようにエアースケーラー用ハンドピースに付け替えるだけで使用できる。
図5 エアースケーラーのハンドピースはワンタッチで着脱できる
歯石除去後の歯面の損傷を比べてみると、振動数の違いで、超音波スケーラーとエアースケーラーに違いがある。スケーリング後の歯面の損傷は、実験的な歯石除去効果を比較した山岡ら1)によると、超音波スケーラーのほうが大きいとしている。臨床的にも同様の結果が報告されている。しかし、手用のスケーリングと比較するとエアースケーラーにおいても歯石除去後の歯面に損傷がより多く観察され、超音波スケーラーで歯石除去を行った時と同様に歯石の除去後に手用のキュレットタイプスケーラーによるルートプレーニングを行う必要がある。
次に超音波スケーラーとエアースケーラーの共通する問題点を感染対策の面から考えてみよう。両者に共通することは、作動時に注水を必要とすることである。歯肉縁上の歯石除去といえども、往々にして出血をきたすことがあり、注水によって血液と唾液が飛散することは免れない。そのことは、とくに注水を噴霧状にする超音波スケーラーに顕著である。感染防止対策として、器具の滅菌消毒、水が飛散するため治療部位周辺の消毒、さらに医療従事者の防護等多方面にわたる感染対策の配慮が要求される。
器具の滅菌はハンドピースをオートクレーブにて滅菌するのが一般的である。エアースケーラーは金属性であるため、オートクレーブ使用は問題がない。しかし、超音波スケーラーのハンドピースの外側は樹脂製のため、オートクレーブの滅菌ができないものが多かったが、最近の製品ではオートクレーブ滅菌の対応もされるようになっている。
さらに最近の製品では、用途が縁上の除石にとどまらず小型のインサートチップ(マイクロウルトラソニック)を使用して歯肉縁下のスケーリングにも使えるように工夫した機種もあり、インサートチップに樹脂を使用して歯面の損傷を最小限に留めようとする方法も考え出されている。また、根管治療における根管の切削、洗浄に、超音波、音波を応用する方法も臨床に取り入れられていて、専用のインサートチップも発売されている。以上両者の比較の主なものを表1に示す。
表1 超音波スケーラーとエアースケーラーの比較
  超音波スケーラー エアースケーラー
周波数 25000〜40000Hz 2500〜6500Hz
振動形式 磁歪振動または電歪振動 エアー駆動
出力の可変 可能 不可能
主な用途 歯肉縁上歯石除去 歯肉縁上歯石除去
その他の用途 補綴物除去、歯内療法 窩洞形成、歯内療法
歯石除去効果 比較すると大 比較すると小
除石中の疼痛 やや大 やや小
歯面の損傷 比較すると大 比較すると小
発売初年
(メーカー)
1961年(デンツプライ社) 1979年(スターデンタル社)
追求4比べてみたら、どっちがどっち?
現在のところ、超音波スケーラーもエアースケーラーも、基本的な用途は歯肉縁上の歯石除去であるといえよう。両者とも非常に頑固に歯面に付着した歯石の除去には音波振動の威力を発揮して、素早く歯石を粉砕除去することができる。しかし、両者ともスケーリング後の歯面が損傷するため、歯石除去を行ったあとは、手用の器具でルートプレーニングを行うことが大切である。
機械器具を用いる時には、その特徴をよく理解して、その効果が最大限に発揮できるよう工夫することが大切である。
【参考文献】
  1. 山岡 昭、他:超音波スケーラーおよびエアースケーラー、歯界展望、72:1305〜1312、1988.
  2. 池田克己:超音波スケーラーその効果的な使用について、日本歯科医師会雑誌、50:233〜241、1997.
  3. 川端 昭:やさしい超音波工学、工業調査会、1991.
  4. Pattison A.M. 他、勝山 茂、他訳:ペリオドンタル・インスツルメンテーション第1版第2刷、医歯薬出版、1995.

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