2017年3月号 頬部の腫瘤
山本俊郎 金村成智
Toshiro YAMAMOTO Narisato KANAMURA
Toshiro YAMAMOTO Narisato KANAMURA
京都府立医科大学大学院 医学研究科
歯科口腔科学
歯科口腔科学
図1 皮膚科受診時の顔貌写真
図2 歯科受診時の顔貌写真
図3 CT画像。頬側皮質骨に骨吸収像がみられる
患者: | 21歳、女性 |
初診: | 2009年8月 |
主訴: | 左側顎下部の膿瘍 |
現病歴: | 1年前から左側頬部に黒色の陥凹を認め、圧痛を自覚するも放置。1ヵ月前から同部より排膿を自覚したため、近医皮膚科クリニックを受診後、本学皮膚科に紹介受診(図1)。その後、症状の増悪を認めたため(図2)、精査・加療目的に当科へ照会受診となった。 |
既往歴: | 特記事項なし |
家族歴: | 特記事項なし |
現症: | 全身所見;左側顎下部の皮膚に20×10mm程度の膿瘍。膿瘍中央部は組織欠損がみられ、周囲に隆起や硬結はみられないが、排膿を認める。体温37.1℃、左側顎下リンパ節に軽度の圧痛を有するが、血液検査所見では特記事項はなかった。 口腔内所見:;歯冠部分に垂直性の破折線を認めるが、動揺はみられない。また、歯肉に炎症所見はみられない。 |
画像所見: | パノラマX線画像では、の根尖部分に大きさ約17×9mmのX線透過像を認める。CT画像では、の根尖部分に頬側および舌側皮質骨に一部骨欠損を有し、大きさ約13×11×11mmの境界明瞭な透過像を認める(図3)。 |
Q | 最も疑われる疾患名は? |
1.放線菌症 | |
2.外歯瘻 | |
3.表皮嚢腫 | |
4.脂肪腫 |