2017年12月号インプラント治療後の疼痛
福田雅幸
Masayuki FUKUDA
Masayuki FUKUDA
秋田大学医学部附属病院 歯科口腔外科
〒010-8543 秋田県秋田市本道1-1-1
〒010-8543 秋田県秋田市本道1-1-1
図1 初診時の口腔内写真
図2 初診時のパノラマX線写真
患者: | 80歳、男性 |
主訴: | 下顎の疼痛 |
既往歴、家族歴: | 特記事項なし |
現病歴: | 初診1ヵ月前から右側下顎臼歯部の疼痛を自覚し、近歯科を受診した。同医でパノラマX線写真を撮影したところ、8年前に他院で埋入された右側下顎部インプラント体周囲に、X線透過像が認められた。症状はインプラント周囲炎によるものと判断し、抗菌薬を処方して経過観察したが症状は改善せず、当科での精査と加療を勧められ、紹介により受診した。 |
現症: | 体格は中等度、栄養状態は良好であった。顔貌は左右対称であり、頸部リンパ節に異常所見はなかった。また、左側のオトガイ神経麻痺や開口障害は認めなかった。口腔内では、右側下顎臼歯部の粘膜に軽度の発赤を認めるものの、粘膜表面は滑沢で、自然出血や腫脹はみられなかった(図1)。 |
臨床検査所見: | WBC 4.4×103/μL、CRP 0.07r/dLと基準値内であった。 |
画像所見: | パノラマX線写真では、前医でのX線所見と同様に、右側下顎臼歯部に埋入されたインプラント体周囲にX線透過像が認められた(図2)。 |
Q | 最も疑われる疾患名は? |
1.インプラント周囲炎 | |
2.下顎骨骨髄炎 | |
3.残留嚢胞 | |
4.原発性骨内がん |