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TopQ&A補綴 > レジンアレルギー患者への義歯作製(2014年5月号)
Q&A
補綴(2014年5月号)
Q レジンアレルギー患者への義歯作製
●レジンアレルギーの患者がおり、そろそろ義歯治療に移行していかなければならない状態です。完全に重合が終わったレジンは大丈夫だと思いますが、軟質レジンは問題ないでしょうか。また、ティッシュコンディショナーもモノマーが含まれているものは使えないと思うのですが、どのように作製したらよいでしょうか。
── 三重県・K歯科
A
  歯科用のモノマーには、一般的にリン酸エステル系を使用することが多く知られています。
  先生がご経験された患者さんは、まさしくこのモノマーが歯肉や口腔粘膜に対して強い刺激性によるものと思われます。
  レジン系モノマーは、ご存知のとおり、pHが2や3とかなりの酸性度です。通常でも、粘膜に付着すると白くなります。これは歯肉が焼けただれることを意味します。いわゆるピーリングをしている状態です。今回の場合、白く焼けた状態からさらに炎症が強くなり、発赤した状態になっていると考えられます。
  ただこの状態ですと、まだ遅延型アレルギーと診断することは難しいと思います。もちろん、粘膜から何回もモノマーの刺激を加えた結果、感作することも十分考えられます。しかし、この感作を感知する細胞は、ランゲルハンス細胞と称し、口腔粘膜にも存在しますが、非常に少ないとされています。ですから、もしレジンアレルギーであれば、口腔内ではなく、皮膚表層に多く観察される、指や手の甲から接触して感作することが考えられます。
  たとえば、整髪剤やペンキ塗料なども、高分子材料(モノマー)を使用しています。これらから感作し、そして、口腔内でモノマーが接触することによってアレルギー陽性反応が惹起されたかもしれません。いずれにせよ皮膚科を受診していただき、パッチテストをするのも一手段かと思われます。
  ただし、金属アレルギーのように、M9シリーズ(鳥居製薬)のような確立されたパッチテストはありません。ですので、むやみにパッチテストをすることでかえって感作してしまう可能性も否定できません。
  今回、ティッシュコンディショニングやリライニングをする際は、唾液をきっちり拭ったうえで粘膜に多くのワセリンを塗布し、そのうえで処置を行ってみるのもよいと思います。
  また、退職予定者について、退職日時点で消化しきれず残った有給休暇を使用者が買い上げることも許されると考えられています。
  余談になりますが、当大学では、パッチテストの試薬を製作し、皮膚科と共同研究もしていますが、患者さんや担当歯科医師の十分な協力とご理解がなければ行えません。

真鍋厚史昭和大学歯学部 歯科保存学講座 美容歯科学部門

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※過去に制作したものなので、現在の法令と異なる場合がございます。
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